50代・60代の方からよくいただくご相談が、「銀行で勧められたファンドラップ、本当に大丈夫?」というテーマです。

退職金が振り込まれた直後、銀行や証券会社からファンドラップの案内が立て続けに届く──そんな経験をされた方は多いはずです。

ファンドラップは「資産運用をプロに一任できる」という安心感のある商品ですが、年間コストの構造を冷静に見ると、退職金の運用先として最善の選択肢ではないケースが多いのが実態です。

ファンドラップとは?

ファンドラップは、銀行や証券会社が提供する「資産運用一任サービス」です。担当者がカウンセリングのように丁寧に説明してくれ、パンフレットも上品で安心感があります。

「自分で投資判断する自信がない」「プロにお任せしたい」という方にとって魅力的に映るのは自然なことです。

しかし、その仕組みと年間コストを冷静に見ることが大切です。

一番見るべきは "年間コストの合算"

ファンドラップで最も注意すべきは、複数の手数料の合算額です。

項目目安
投資顧問報酬年 1.0〜1.5%
信託報酬年 0.3〜0.8%
その他費用年 0.1〜0.3%
合計(年間コスト)年 1.5〜2.5%超

商品案内書には項目が分かれて記載されているため、合算するとどれくらいの負担かが分かりにくい構造になっています。

退職金2,000万円を預けた場合

仮に退職金2,000万円をファンドラップに預け、年間コスト2%とした場合の試算です。

期間年間コスト総額
毎年40万円
10年間約400万円
20年間約800万円

これらは運用成績とは無関係に差し引かれる金額です。複利で考えると、その分の機会損失も発生するため、実際の影響はさらに大きくなります。

同じ運用を低コスト投信ですると

仮に低コストのインデックス投信(年 0.1〜0.3%)で同等の資産配分を組んだ場合、

ファンドラップ20年で 約800万円 vs 低コスト投信20年で 約12万円。差は700万円超になることもあります。

なぜここまで手数料に差があるのか

ファンドラップの実態を冷静に見ると、

「投資信託をいくつか組み合わせて、定期的に配分を見直す」

というサービスです。配分の見直し自体は、ある程度シンプルなルールで行われていることが多く、自分で勉強すれば再現できる範囲とも言える内容です。

もちろん、知識習得・運用判断の手間を業者に任せられる安心感には価値があります。ただ、その対価が 退職金2,000万円で20年間 約800万円 という大きさは、十分検討に値する数字です。

"売り手" の都合を理解する

銀行・証券会社の窓口担当者の評価は、販売手数料・信託報酬と連動しています。

これは担当者個人の悪意ではなく、業界の構造そのものです。詳しくは 「なぜ証券会社の窓口では『ほったらかし運用』を勧められないのか」 で解説しています。

既に契約してしまった場合は?

「もう契約しちゃったけど、どうしよう…」という方も少なくありません。

まずは冷静に手元の契約書を確認してみてください。

解約・継続の判断は、売り手ではない第三者の意見を聞いてから決めることをおすすめします。

まとめ